マーケティングミックスを考える-4Cとは

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マーケティングミックスという考え方に関して、前回ご紹介したマーケティングの4Pに加えて、マーケティングの4Cという考え方もあります。

マーケティングの4Cとは、Customer Value(顧客が感じる価値)、Cost(顧客が払う費用)、Convenience(顧客が感じる利便性)、Communication(顧客交流)のそれぞれの頭文字を取って4Cと言います。4Pが提供者側からの目線であるのに加えて、4Cは顧客目線であることに違いがあります。では、具体的に内容を見ていきましょう。

4Cの意味

まずはCustomer Value(顧客価値)であり、顧客側が対象のモノ・サービスに感じとる価値のことです。「使いやすい」「心地がよい」「オシャレ」「先進的」などの例を挙げることができます。ベネフィットという言い方もあります。

次に、Cost(顧客が払う経費)です。これは対象のモノ・サービスに対して顧客側に発生する負担のことを指します。実際に支払うお金だけにとどまらず、購入するまでの作業、手間などの負担なども含まれます。

三つめは、Convenience(利便性)です。顧客側がどれだけ容易にモノ・サービスを入手できるかの状況のことを指します。「場所」、「時間」、「エリア範囲」などに加えて、「決済の利便性」なども対象になります。

最後は、Communication(顧客交流)です。顧客側と接点を持つ手段に関する事柄を指します。例えば、「対面」、「イベント」、「SNS」などはわかりやすいですが、間接的にはホームページにおける「お問い合わせフォーム」なども対象になります。

ここから個別にもう少し詳しく検討して行きましょう。

Customer Valueとは

まずはCustomer Value(顧客が感じる価値)です。これは提供者から提供されるProductに対して、顧客が感じる価値のことを指しています。
マーケティングの世界で有名な言葉に「昨年、1/4インチ口径のドリルが100万個売れたのは、人びとが1/4インチのドリルを欲しかったからではない。1/4インチの穴が欲しかったのである」というものがあります。これは、マーケティングの大家であるセオドア・レビット博士が、著書「マーケティング発想法」の中で紹介した有名な話です。
ドリルが欲しい人はドリルというマシンそのものが欲しいのではなく、それによって空けられる穴に価値を感じているのだということを表現しています。

このような例は多数見られます。例えばテレビというハードウェアに関して言えば、テレビというハードウェアは顧客にとっての価値でしょうか。もちろんそういう人も中にはいると思いますが、多くの人はテレビを通じて視聴できるコンテンツに価値を感じる人の方が多いでしょう。かつてソニーがテレビというハードの提供に留まらず、映画会社を立ち上げたのは有名な事例と言えるでしょう。

つまり提供する側からは、顧客がその製品を通じてどのような価値を感じてくれるのか、という点に着目する必要があるということです。例えば同じ「バッグ」を提供する場合でも、ユニクロが提供するバッグとグッチが提供するバッグとでは、顧客が感じる「価値」は全く異なると言えます。そして、その価値をより強く感じてもらえるようなモノづくりが必要であると言えるでしょう。

Costとは

次に、Cost(顧客が払う経費)に関して考えてみましょう。この「コスト」に関しては、先に「実際に支払うお金だけにとどまらず購入するまでの作業負担なども含まれます」と書いているように、実際にお店等で購入する際に支払うお金に加えて、様々な手間や労力もコストとして考える必要があります。

ではここで、皆さんが職場で仕事中に飲むミネラルウォーターを例として考えてみたいと思います。
ミネラルウォーターを最も安く買うには、例えばスーパーやディスカウンターで箱買いするのが最も安いでしょう。では、どの程度の人がスーパー等で箱買いしたミネラルウォーターを、自宅から職場に毎日持参しているでしょうか。少なくとも私はそうはしていません。
理由として、スーパーで購入したミネラルウォーターを職場に持参するためには、実際に購入した費用に加えて、多量のコストがかかっていることが指摘できます。

具体的には、スーパーに買いに行くコスト、それを自宅に持ち帰るコスト、箱ごと自宅に保管しておくコスト、さらにそれを自宅から職場まで持参するコストなどがかかっていると考えます。
こうしたことを勘案すると、スーパーのミネラルウォーターが仮に1本58円だとして、職場で100円で自販機で売られているものより絶対的に安いとは言い難いと言えます。

このように、「コスト」を考えるときには、顧客がその製品を消費するまでのトータルでのコストを考える必要があるのです。いくら安くても、それを買いに行くためのコストがかかれば、思うほど沢山売れないということです。

最近はやりのウォーターサーバに関しても、スーパーのミネラルウォーターとのコストを比較する人がますが、そもそもウォーターサーバのコストには、自宅まで配達してくれるコストが含まれていますので、スーパーで買ったお水と比較するためには、その分を差し引いて考える必要があるでしょう。

Convenienceとは

次にConvenience(利便性)に関して考えてみましょう。利便性に関しては、昨今はモノをオンラインで買うのか、リアルの店舗で買うのかという比較が最もホットではないかと思います。

皆さんも以前と比較すると、ECサイトなどでオンラインでモノを購入することが非常に増えていると思います。当初は、書籍などのようにどこで購入しても変わらないコンテンツなどに関して、ECの普及が早かったと言えます。全く変わらないものに関して、わざわざ書店に足を運ばなくても、自宅でスマホから購入できる方が利便性が高いことから、ECが急速に普及してきました。

しかしながら、購入するものがファッションなどになると、写真だけでは確認できない、サイズや質感手触りなど、実際のモノを確認することが難しくなってきます。提供者側は届いた商品が想像と異なった場合に備えて、無料で返品を可能にするなどの工夫を行ってはいますが、その分のロスと手間が生じてしまい、利便性が高いとは言いにくくなってしまいます。

また、買回り品の代表である家電製品などでは、実際に店頭に行って多数展示されている商品から店員の説明などを聞いて購入するのが結局は一番手間がかからないということもあります。しかし、実際にはオンラインで購入した方が価格が安いことから、店頭で商品を品定めして、オンラインで購入する方も増えています。こうしたことから店頭がショールームのようになってしまうことを「ショールーミング」などと呼んでいますが、この対策として各店舗ではOMO(Online Merges with Offline)と称するオンラインとオフラインの統合という施策を強化しています。

このように「利便性」に関しては、様々な要因が含まれるので注意が必要と言えるでしょう。

Communicationとは

最後に、Communication(顧客交流)です。提供側ではプロモーションと言っている活動に該当しますが、顧客側からは提供側とのコミュニケーションという表現を使っています。
このコミュニケーションに関しては、以前は一方的に提供側から情報が送られてくるだけということが多かったですが、インターネットの普及によって、顧客側から積極的に関わっていくことが可能になり、その活用方法が重要になってきています。

特にSNSは顧客が自由に自分の意見を発信できることから、場合によっては「炎上」してしまうことになりますが、一方で逆にそれまで知名度がそれほどなかった商品が、SNSを通じて一夜にして大ブレイクする、というようなことも起こりえます。
このように提供側、特に中小企業においては、SNSをいかにいかにうまく活用するかが、これからますます重要になってくると言えるでしょう。

また、企業が積極的に顧客と交流を図るコミュニティサイトの構築も盛んになっています。コミュニティサイトとは、企業・ブランドと、その顧客であるユーザー、あるいはユーザー同士の交流・対話を目的としたサイトのことです。会員制として運営されることが多く、機能はサイトによってさまざまです。企業の社員やスタッフとの交流、会員限定イベント、あるいはSNSのようにユーザー同士が会話できるトークルームなどがあるようです。

コミュニティサイトの先駆けでもあるカゴメさんの「&KAGOME」は、利用者とカゴメが楽しく対話できる場所であり、工場見学、座談会、商品のお試し体験など、さまざまなイベントや企画を通して、お互いの声を「聞くこと」「伝えあうこと」を大切にしているとしています。

ビーウェル・マネジメントのマーケティング導入支援サービス

このように、マーケティングミックスに関して、提供者側から見る4Pと、顧客側から見る4Cとでは、同じような事柄であっても違った見方ができるかと思います。
4Pに加えて、4Cの視点でも施策を検討されることをお勧めします。

ビーウェル・マネジメントでは、中小企業様専門のマーケティング施策に特化したサービスをご提供しております。的確な戦略の立案から、社内研修・育成まで、コストを抑えて包括的なマーケティング支援であることが最大の特長です。
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