
目次
マーケティングリサーチにおいて、消費者の動向や市場のトレンドを把握するためには、データ収集と分析が不可欠です。
そして、その手法は大きく「定量調査」と「定性調査」に分けられることをお話しました。今回のコラムでは、それぞれ異なる役割を持つ「定量調査」と「定性調査」に関して特徴と使い分けについて説明したいと思います。
マーケティングリサーチにおける定量調査の特徴と活用場面
定量調査とは、数値データを収集し、統計的に分析することで市場の全体像を明らかにする手法です。例えば、アンケート調査、売上データ分析、ウェブアクセス解析などが代表的な手法となります。
数字を根拠にして説明する手法ですので、説得力が増すという効果があります。
定量調査の主な特徴
市場規模やシェアを数値で把握できる:特定の製品やブランドの市場占有率や成長率を明確に示すことができます。
消費者の傾向を広範囲で分析できる:性別、年齢、地域などの属性ごとの購買行動を比較しやすくなります。
意思決定のためのエビデンスを提供できる:新商品の投入や価格設定の判断材料となります。
市場調査における主な活用場面
市場規模の測定:業界全体の成長率や競合他社のシェアを分析します。
消費者ニーズの把握:アンケート調査を通じて、特定の商品やサービスに対する関心度を測ることができます。
広告やプロモーションの効果測定:キャンペーン前後の売上やクリック率の変化を分析することで効果を測ることができます。
例えば、新商品の市場導入を検討する際、ターゲット層の購買意向を調査するために、オンラインアンケートを実施し、「この製品を購入したいと思いますか?」といった質問を数百~数千人規模で行うことで、データに基づいた判断が可能になります。
マーケティングリサーチにおける定性調査の特徴と活用場面
定性調査は、消費者の行動や心理を深掘りし、数値では捉えにくい購買意欲や意思決定の背景を明らかにすることなどに活用できる手法と言えます。
主にインタビュー、フォーカスグループ調査、エスノグラフィ(行動観察調査)などが用いられます。
ミクロでの生活者の心理の変化や感情の動きなどを把握することが可能になります。
定性調査の主な特徴
消費者の購買動機を詳細に理解できる:なぜその商品を選んだのか、どういうシーンで使用するのかを把握することが可能となります。
ブランドイメージや製品コンセプトの受容性を検証できる:企業側のメッセージが消費者にどのように伝わっているのかを確認することができます。
新しいアイデアやインサイトを得られる:こちらがまだ見つけられていない思わぬニーズや課題を発見することができます。
市場調査における主な活用場面
消費者の購買行動の詳細な分析:実際の買い物の様子を観察し、どのような要因で商品が選ばれるのかを探ります。
新商品・新サービスの開発前調査:ターゲット層に試作品を見せながらインタビューし、改良のヒントを得ます。
ブランドイメージの検証:消費者があるブランドにどのような感情を持っているのかを探る。
例えば、特定の化粧品ブランドの市場調査を行う場合、フォーカスグループを実施し、「この製品を使用したとき、どのような気持ちになりましたか?」と問いかけることで、製品の心理的な影響を明らかにすることができます。
市場調査における定量調査と定性調査の使い分け
市場調査において、定量調査と定性調査はそれぞれ異なる目的に応じて使い分けることが重要になります。例えば、以下の基準をもとに適切な手法を選択するとよいでしょう。
調査の目的に応じた選択
「市場全体の傾向や数値的な裏付けが必要」→ 定量調査
「消費者の具体的な意見や行動の背景を知りたい」→ 定性調査
調査の段階による使い分け
初期調査(仮説形成):定性調査を用いて消費者のニーズや不満を把握する。
検証調査(市場規模の測定):定量調査を用いて、特定のニーズの大きさや売上予測を行う。
両者の組み合わせ
定性調査で消費者の深層心理を探り、定量調査でそれが市場全体でどの程度共通しているのかを確認し、定量調査で得られた結果を深掘りし、具体的な改善点を探るために定性調査を実施します。
具体的な市場調査の実施例
例えば、新しい健康飲料の市場導入を検討する際の調査プロセスとしては以下のようになります。
定性調査(初期段階)
消費者インタビューを実施し、健康飲料を購入する動機や求める効果を深掘りする。
「どのようなシーンで健康飲料を飲むことが多いか?」などの質問を通じて、製品コンセプトを検討します。
定量調査(検証段階)
オンラインアンケートを実施し、ターゲット層のうちどれくらいの割合が新製品に興味を持つかを調査します。
また、「購入意向がある」と答えた人の割合を算出し、市場規模を推定します。
定性調査(補完的調査)
試作品を試飲してもらい、味やデザインに関する具体的なフィードバックを得ます。
まとめ
マーケティングリサーチにおいて、定量調査は市場全体の傾向を数値で把握するのに適しており、定性調査は消費者の行動や心理を深く理解するのに役立ちます。
それぞれの特性を理解し、調査の目的や段階に応じて適切に使い分けることで、より精度の高い市場分析が可能となります。
最適な戦略を立てるためには、両者を組み合わせた調査を実施し、データに基づいた意思決定を行うことが重要となります。
ビーウェル・マネジメントのマーケティング導入支援サービス
ビーウェル・マネジメントでは、中小企業様専門のマーケティング施策に特化したサービスをご提供しております。的確な戦略の立案から、社内研修・育成まで、コストを抑えて包括的なマーケティング支援であることが最大の特長です。
また、ご予算に合わせた実効的なマーケティングリサーチもご支援させて頂きます。
もしマーケティングに関してお悩みのことがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。