定性調査の事例と実施の留意事項

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定性調査とは、数値データではなく、インタビューや観察を通じて人々の意見や行動を深く理解するための調査手法です。
市場調査ユーザーエクスペリエンスの向上に欠かせない手法であり、商品開発やサービス改善のための貴重な洞察を得ることができます。
定性調査には、定量調査とは異なる目的や手法がとられますので、ここでは、定性調査の具体的な事例と実施時の留意点について説明します。

定性調査の事例

新商品のコンセプトテスト(化粧品ブランドの事例)

ある化粧品ブランドが、10代向けのスキンケア製品を新たに開発しました。その製品が、ターゲット層にどのように受け入れられるかを調べるため、フォーカスグループインタビューを実施しました。

調査方法:10代の女性5名に、商品の使用感やデザインについて、実際に利用してもらいながら自由に話しあってもらう。
調査結果:パッケージデザインは好評だったが、一部のユーザーから「香りが強すぎる」という意見があった。
対応策:ユーザーの好みに応じた香りのバリエーションを追加した。

アプリのユーザビリティテスト(IT企業の事例)

新しいモバイルアプリの使いやすさを評価するため、ユーザビリティテストを実施しました。ユーザー層に実際にアプリを操作してもらいながら、率直な意見を話してもらいました。

調査方法:ターゲットユーザー10名に個別にアプリを実際に操作してもらい、その様子を観察しながらインタビューした。
調査結果:ナビゲーションが分かりにくく、重要な機能にたどり着きにくいというフィードバックを得た。
対応策:メニュー構造を簡素化し、より直感的なデザインに改善した。

サービス改善のための顧客インタビュー(飲食業の事例)

あるレストランチェーンが、顧客満足度向上のために、来店客に向けてインタビュー調査を実施しました。

調査方法:リピーター客と新規客を対象に、それぞれ10名に店舗の雰囲気やサービスの満足度について深掘りインタビューを実施。
調査結果:リピーターは「落ち着いた雰囲気」を評価している一方、新規客は「メニューの分かりにくさ」に不満を持っていた。
対応策:メニューの視認性を向上させるため、写真やおすすめポイントを追加した。

グループインタビューによる消費者意識調査(食品メーカーの事例)

ある食品メーカーが、新しい冷凍食品の開発にあたり、消費者のニーズを探るためグループインタビューを実施しました。

調査方法:異なるライフスタイルを持つ30代~40代の男女5名ずつ、2グループを集め、普段の食生活や冷凍食品に対する意識について自由に意見交換してもらった。
調査結果:共働き家庭では「時短調理できる商品」が求められている一方で、単身者は「小分けパックで保存しやすい商品」を求めていることが判明した。
対応策:ターゲット別に「時短調理向け」と「小分け保存向け」の2種類の商品ラインを開発した。

定性調査の留意事項

目的を明確にする

調査の目的が明確でないと、得られる情報が曖昧なものになり、活用しづらくなります。
例えば「新商品のコンセプトがターゲット層にどのように受け入れられるか」を知ることが目的なら、「第一印象」「パッケージデザイン」「使用感」などの具体的な評価ポイントを設定することが重要です。

適切な対象者を選定する

調査対象者は、目的に応じて慎重に選定する必要があります。
例えば、シニア層向けの健康食品の調査を行う場合、実際のユーザーであるシニア層にインタビューしなければ意味がありません。
また、属性ごとに異なる意見を得るため、男女比や年齢層のバランスも考慮することが重要です。
尚、定性調査であっても、数名に聞くだけでは不十分ですので、できる範囲で多くのサンプルを集めることが求められます。

バイアスがかからない質問を意識する

質問の仕方によって回答が大きく変わることがあります。「この商品を好きですか?」と聞くより、「この商品のどの点が気に入りましたか? 逆に、どの点が改善できると思いますか?」と聞く方が、より具体的な意見を引き出しやすくなります。
また、一つの質問で二つのことを尋ねるのは避けましょう。例でば、「味と食感のどちらが気に入りましたか?」ではなく、それぞれを分けて聞くようにします。

非言語的な反応も観察する

インタビューでは、言葉だけでなく、表情やしぐさにも注目することで、より深いインサイトを得ることができます。
例えば、ある飲料メーカーが試飲会を実施した際に、参加者が「美味しい」と言いながらも表情が曇っていた場合、実際には何か違和感を感じている可能性があります。
このような場合は、「何か違和感を感じましたか?」と掘り下げることで、より正確な意見を引き出せます。

データの整理と解釈を慎重に行う

定性調査では、収集したデータをテーマごとに分類し、共通点や相違点を整理することが重要です。
例えば、食品の試食調査で「食感が良い」「味が濃すぎる」といったコメントが多数見られた場合、それをカテゴリー化して傾向を分析することで、より具体的な改善策を導き出すことができます。

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