そもそもマーケティングとは

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これをお読みになっている皆さんは「マーケティング」と聞いて何を思い浮かべますか。テレビCMでしょうか。それともアンケート調査でしょうか。はたまたSNSでの炎上商法でしょうか。このように「マーケティング」と言われて思い浮かべるものは、正に十人十色です。そして大抵の場合、それは必ずしも正解ではありません。その理由の一つが、実はマーケティングという概念がとても広いということです。

マーケティングの定義

では、マーケティングとは一体何でしょうか?世の中にマーケティングに関する定義は多数ありますが、社団法人 日本マーケティング協会の定義によれば、「マーケティングとは、企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動である」とあります。どうやら「市場創造のための総合的活動」の「総合的」という部分が事態をややこしくしているようです。市場を生み出していくためには「総合的」な様々な活動が求められているとも言えそうです。

また、この定義で私が最も重要と考えるのが、「顧客との相互理解」という部分です。皆さんの会社は「顧客との相互理解」を試みていらっしゃいますか?もう少し嚙み砕いて言えば、顧客を理解しようとする活動を行っていらっしゃるでしょうか。マーケティングリサーチはこの代表的な手段のひとつです。

マーケティングコンセプトとは

さて、ここでマーケティングに対する理解を深める上で、これまで企業がどのような活動をしてきたのかを振り返ってみましょう。そもそも現在のように経済が成熟する以前、高度経済成長期などにおいては、ものを作れば作るだけ売れる時代が長く続きました。この時代の企業は、「生産コンセプト」という考えを中心に事業展開をしていました。企業はできるだけ大量に生産することで、どこでも手に入れられる安価な製品を提供するという発想でものを生産していました。大量生産、大量消費の時代です。その結果、世の中に様々な製品が普及し、我々の生活が豊かになっていきました。三種の神器(冷蔵庫、洗濯機、テレビ)が世帯に普及していった時代を思い浮かべてください。

しかし、世の中にモノが一巡すると、みんなと同じものではなく、より良い製品が売れるようになります。今度はそういった世の中の変化に対して、企業はより良い製品を作ることで他社との差別化を図ろうとします。そういった時代の企業の考えを今度は「製品コンセプト」と呼ぶことができます。より品質がよく、目新しい製品を提供するという発想です。この段階では、企業が考えるより良い製品が提供されていきました。これをシーズ志向と言います。企業が提供できる(シーズ=種、つまり企業の持つ技術等)より良い製品が提供されていきました。

しかし、これも進展して行けば企業同士の競争によって、結局は同じような製品が市場に溢れかえることになります。この先にあるのは販売合戦です。この段階の企業の考えは「販売コンセプト」と言い、販売活動(売り込み)重視の発想と言えます。販売重視になってくると起きることは「安売り」です。結局過当競争が生むのは価格競争であり、結果的に肝心な企業自身が儲からなくなってしまいます。

さて、ここまで読んで頂いて気づいたかと思いますが、ここまであくまで主語は「企業」です。こうした中で登場したのが「マーケティング・コンセプト」と言うことができます。つまり、顧客が求めるものを提供するという発想です。マーケティング・コンセプトでは、選択した顧客に、効果的に「顧客価値」を生み出すモノの提供が必要になります。顧客が価値(ベネフィットと言います)を感じるものを提供すること、これが簡単に言えば「マーケティング」の考え方なのです。マーケティングの語源は市場、マーケットです。

それまで企業は顧客の求めるものとは関係なく、自分たちが良いと思うものを提供するのが基本的な姿勢でした。しかし、マーケティングの考え方では主役は顧客です。顧客が価値を感じるものを理解し、総合的な活動をもって顧客に届けることこそが「マーケティング」なのです。

より踏み込んだマーケティングの詳細をご覧になりたい方は、以下の記事も参照ください。
マーケティング戦略の立て方

マーケティングにおける主役とは

私は職種柄、様々な企業の担当者さんとお会いしますが、とても多いのが「できちゃった製品」の販売先を探してほしいという企業の担当者です。「できちゃった製品」とは何か。言い方は悪いですが、ろくに何も調べもせずに開発者自身の思い付きで作った製品のことです。特に中小企業の社長さんに多いのですが、自分が作れるものにニーズがあると自分に思い込ませ、そのまま製品化してしまうケースです。結局、製品化はしたものの、全く売れずに困り果てているという方を沢山見てきました。

こうしたケースでは、この製品を一体誰に向けて売ろうとしているのか、という方針がそもそも全く見えていないことが多いのです。結局、主語が自社なので、作りたい製品を作ることが目的となっており、そもそも誰に向けて作るべきかということが曖昧なままなのです。

さて、最初の定義の話に戻りますが、マーケティングでは「顧客との相互理解」が必要であるということがわかりました。では、皆さんの企業の顧客とは誰でしょうか。当然のことですが、具体的な社名や個人のことではありません。どのような「層」なのかということは明確でしょうか。マーケティングにおいては顧客の理解が必要ということはお分かり頂けたと思いますが、実際のところ皆様の企業ではどのような顧客「層」をターゲットにしているということは明確になっていますか。まずは顧客層が明確であること、これがマーケティングのスタート地点と言えるのです。顧客層が明確になって初めて、相互理解をするための相手が明らかになり、そこに対する総合的活動も可能になるのです。

まずは貴社の顧客層が明確か、その点を一度点検してみてはいかがでしょうか。

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