マーケティング戦略を立案する上でまず最初に行うのが、外部、および内部の環境分析です。今回は、外部環境分析の中でもミクロ環境分析を解説します。
マーケティング戦略の立て方でもご紹介した通り、外部環境分析にはマクロ環境分析とミクロ環境分析があります。前回のコラムではマクロ環境分析の方法として、PEST分析を紹介しました。今回はより身近な外部環境分析ともいえるミクロ環境分析を説明していきます。
ミクロ環境分析はいわば業界分析とも言えます。自社が事業を行っている業界、あるいはこれから参入しようと考えている業界などを指します。皆さんが想定する「業界」はどのようなプレイヤーで構成されているでしょうか。
5フォース分析
下図をご覧ください。これは有名な経営学者マイケル・E・ポーター氏が提唱した5フォース(ファイブフォース)という概念です。
業界には自社が実際に競争を行っている競合企業だけでなく、売り手、買い手、新規参入、代替品などといった様々なプレイヤーが存在するという図です。
一般的に競合というと自社と同じような製品を市場に投入している競争相手企業をイメージしがちですが、実際には市場では様々な競争が行われている、という概念です。
まず「売り手」とは自社が仕入れを行っている先が相当します。原材料、部品、下請先の他エネルギーの供給先なども該当します。最近はエネルギーの高騰の影響を受けている企業も多いでしょうし、半導体の入手が困難を極めて自社の製品の販売が滞るというような時期もありました。これらは売り手の「脅威」ということができます。
「買い手」とは直接自社の製品を購入してくれるユーザーが該当します。例えば、これまで均衡していた需要と供給のバランスが崩れ、ユーザーの方が交渉力を持つ場合があります。この場合は「買い手」が脅威となりえます。かつて一時期の日本の家電業界はメーカー数が多すぎて供給過多となった結果、買い手の交渉力の方が高まることで低価格化が進展しすぎることで多くの家電メーカーが淘汰されていきました。
「新規参入」とは、自社の市場に今までとは違う新しいプレイヤーが参入してくる脅威を指します。特に成長産業では相次いで新規参入が登場しますので、従来の競合だけを意識していては足元をすくわれる可能性があります。これまで3社しかプレイヤーがいなかった携帯電話事業の市場に楽天モバイルが参入してきたのは記憶に新しいところです。もっともこの事例は既存の事業者の脅威になっているとは言い難いですが・・・
「代替品」はこれまでは違う製品が自社の市場を奪っていくことを指します。これもある日突然、認識していなかった別の製品が自社の市場を奪っていくことになるので対策が必要になります。デジタルカメラメーカーにとってのスマホの登場はこれの顕著な事例と言えましょう。
3C分析
上記の5フォース分析は非常に広い視野での業界ということができますが、通常業界という時は競合と顧客を想定されると思います。この際に使われる整理方法として3C分析があります。
顧客(Customer)・競合(Competitor)・自社(Company)の3つの言葉の頭文字であり、自社や事業部等がどのような経営環境に置かれているのかという状況を分析し、経営課題を発見、戦略代替案の発想などに活用するものです。
ただし、ここは外部環境分析ですので、自社は対象外となります。競合の動向や顧客の動向を分析することになります。
競合分析
競合の分析に関しては、色々な切り口がありますが、図にある通りシェアの動向、営業力・販売力の動向、ブランドの強弱、競合の強み、弱みなどを押さえていきます。
他社が最近急速にシェアを落としている、競合の営業マンが活発に自社の顧客にアプローチしている、何らかのクレームを起こしてブランドが失墜している、などの事象を集めていくことで、自社にとっての「機会」や「脅威」を整理していきます。このあたりの情報は自社の営業マンが競合の動きをウォッチしているはずですので、社内の情報を活用すると良いかもしれません。
顧客分析
競合分析に関しては、潜在市場規模、構造変化、顧客ニーズ、製品選択基準、セグメンテーション(市場の細分化)などの例を示していますが、マーケティング戦略を立てる上で非常に重要な項目となります。特に顧客の変化、意識の変化など、顧客は常に動いていますので、固定観念は排除して、常に新鮮な目で再確認することが重要です。
例えば、最近では消費者の環境面に対する意識が急速に変わっており、環境対策に不十分な企業である、と認識されただけで顧客が離反していく可能性があります。従って、常に顧客の意識やニーズの変化に関しては神経質である必要があると言えるでしょう。
ビーウェル・マネジメントのマーケティング導入支援サービス
少し専門的な内容になりましたが、5フォース分析・3C分析といったミクロ環境分析を行うことで、マーケティングの結果は大きく変わってきます。
なかなか自社で取り組むことが難しい、という場合にはお気軽にご相談ください。
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