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設定したターゲット層のユーザーニーズを的確に把握することは、商品開発やサービス向上のために欠かせません。
その手法の一つとしてフォーム等を使ったアンケート調査がありますが、実施の際にはいくつかの注意点を押さえることが重要です。
本コラムでは、中小企業の皆さんが効果的なアンケート調査を行うために気を付けるべきポイントについて解説します。
目的を明確にする
アンケート調査を実施する前に、まず「何を知りたいのか」を明確にしましょう。目的が曖昧なままでは、適切な質問を作成できず、得られるデータの質も低下します。
例えば、「新商品の開発に向けてユーザーの不満点を把握したい」のか、「現在のサービスの満足度を測定したい」のかでは、質問の内容や形式が異なります。
調査の目的を明確にすることで、アンケートの設計がスムーズになり、より実践的なデータを収集できます。
また、調査を実施する際は、ある程度の仮説を立てるようにしましょう。ただ漠然とユーザーのニーズを教えてほしい、ではアンケートは作成できません。
ユーザー層にはこのようなニーズがあるのではないか、という仮説がなければまだアンケート作成にはタイミングが早いかもしれません。その場合は、ヒアリングなどの定性調査を検討してみてはどうでしょうか。
適切な質問を設計する
アンケートの質問設計は、回答の質を左右する重要な要素です。特に以下の点に注意して設計しましょう。
・具体的な質問をする
「サービスに満足していますか?」ではなく、「サービスのどの点に満足していますか?」のように具体的にする。この場合、改善点が明確になります。
・回答しやすい形式を選ぶ
選択式(単一回答式・複数回答式)と自由記述式をバランスよく組み合わせましょう。自由記述が多すぎると回答率が下がる可能性があるので、多用しない方が良いでしょう。
・バイアス(偏り)を避ける
「このサービスは素晴らしいと思いますか?」のような誘導的な質問や主観的な設問は避けましょう。結果の信頼性が低下します。
・質問の順序を工夫する
簡単な質問から始め、徐々に具体的な質問へ移行すると回答しやすくなり、回答者の負担が減ります。結果的に回答率、回収率が上がります。
ターゲットを適切に選定する(サンプリング)
調査対象者の選定も重要です。対象が適切でなければ、得られたデータが的外れなものになる可能性があります。
例えば、20歳代向けの商品について調査するのに、50歳代を対象にしても有益なデータは得られません。あくまでもターゲット層に近しい集団を抽出(サンプリング)するようにします。
ターゲット層を明確にし、調査方法も適切な方法(オンライン、対面、電話など)を選びましょう。
また、調査のタイミングにも注意が必要です。例えば、季節商品に関する調査は販売前後に実施することで、より正確なニーズを把握できます。
回答率、回収率を高める工夫をする
回答率とは、アンケートの中で設問に答えてくれた割合、回収率とはアンケートを要請した対象者が回答してくれた割合のことです。歯抜けのアンケートや、著しく回収率の低いアンケートはデータの信頼性が担保できません。
アンケートの回答率を上げるためには、次のような工夫が必要です。
・所要時間を明記し、短時間で回答できるようにします。
・インセンティブ(クーポンやポイント)を用意しましょう。
・回答のメリットを伝えます(「この調査結果は今後のサービス改善に活かされます」など)
・スマートフォン対応のフォームを用意し、モバイルユーザーが気軽に回答できるようにします。
・リマインダーを送るなど、 期限が近づいた際に、未回答者へリマインドメールを送るなどします。
回答データの分析と活用
アンケートを実施した後は、集まったデータを適切に分析し、活用することが重要です。調査をしたことで満足して行動しなければ全く意味がありません。
・データを整理し、傾向を把握します。数字を読み取るだけでなく、その結果になった理由を推察します。
・定性データ(自由記述)と定量データ(数値)を組み合わせて適切に分析する。定性データをじっくり読み込むことで新しい発見があるかもしれません。
・調査結果を実際の開発、施策に反映する。調査結果に基づいて、正しい行動を起こします。
・データの相関を分析する。例えば「価格の満足度」と「サービス全体の満足度」の関係を把握することで、改善の方向性を明確にします。例えばクロス集計などで属性ごとの傾向を発見できます。
継続的な実施と改善
一度のアンケートで終わりにせず、継続的に実施することで、ユーザーニーズの変化を把握しやすくなります。また、過去の調査結果と比較することで、サービス改善の進捗を測ることもできます。
できるだけ定期的に実施し、トレンドを把握したり、新たな質問を加えてより深い分析を行っていきます。
また、過去のデータとの比較を行い、改善の成果を測定することも重要です。
アンケートのフォローアップを行う
アンケートを実施した後に、調査結果をフィードバックすることで、ユーザーとの信頼関係を築くことができます。
調査結果の一部を公開することで、「今回の調査で寄せられたご意見を元に、次回のアップデートに反映させます」などを関係性を構築することができます。
個別のフォローを行うことも有効です。重要な意見を寄せた回答者には、追加の質問や意見交換を依頼することで、より詳細な情報を得られることがあります。
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