目次
今回はマーケティング戦略を立てるプロセスに関して大きな流れを解説させて頂きます。戦略の前に、マーケティングについて何かを把握しておきたい方は、「そもそもマーケティングとは」をご覧ください。
さて「戦略」とは何か、という議論もあるのですが、それは一旦ここでは置いておきまして、マーケティング戦略とは企業、事業、製品、どのようなレベルであっても「マーケティングの観点から成功を導くための道筋を描くこと」とでも言えるでしょうか。そのための進め方を解説して行きます。まずは、下図をご覧ください。
事業ドメインの設定
最初に、事業ドメイン(事業領域)の設定とあります。事業ドメインとは、どの市場で戦うかという意味です。例えば、現在は企業向けソフトウェアを提供しているのに、いきなりロボット製造の市場に事業ドメインを定めることは、通常は無茶な設定と言えます。通常は「企業向けのITツール」といった程度でドメインを定めるべきでしょう。
マーケティング理念の明確化
事業ドメインを「企業向けITツール」と定めたら、最初に行うのは理念の明確化です。理念というと大げさに聞こえるかもしれませんが、ビジョンや方針、目的などと言い換えても大丈夫です。これから戦略を立てる上での指針となるものと言っても良いかもしれません。
例えば、現在の事業を見直し、現在のドメインでの売り上げを倍にする、などという明確な目標を立てると戦略を立てる必要性が高まります。売り上げを2倍にするには、根本的に事業や製品のあり方などを見直す必要がありますね。
環境分析
さて、目標が明確になったら、次に環境分析を行いましょう。環境分析とは、自分たちが置かれている状況を客観的に把握することです。そしてこの環境分析には2種類があります。内部環境分析と外部環境分析です。
内部環境分析
内部環境とは自社の社内や部門が置かれている状況を客観的に把握するということです。内部環境を整理するには様々な整理方法がありますが、例えば、人、モノ、金、情報といった切り口がなじみやすいですね。他にも仕入れ、開発、製造、販売、アフターフォローなどのように業務の流れごとに整理することもできるでしょう。特に競合が明確な場合は競合と比較すると把握しやすくなります。
ここで明確にしたいのは、自社の「強み」と「弱み」です。他社と比較した際にどのような部分で自社が勝っているのか、顧客に評価されているのはどのような側面なのか、という点が「強み」です。逆に「弱み」は他社に劣っている点、顧客が不満に感じている点、よくクレームが発生するポイントなどから明らかにしていきましょう。
内部環境分析について、詳しくは以下の記事をご参照ください。
マーケティング戦略立案における内部環境分析とは
外部環境分析
次に外部環境分析です。この外部環境にはマクロ環境とミクロ環境の2段階があります。マクロ環境とは、言わば「世の中の動向」というくらいの広い環境のことを指します。
この時に使うと便利なのが、「PEST分析」です。また今後細かく解説しますが、世の中で特に重要な政治のP、経済のE、社会のS、技術のTを略したものがPESTであり、その動向を分析することです。法令の改正、規制緩和、経済成長、人口動向、ITの進化など、それぞれの分野から自社の事業に関係しそうな事象を把握していきます。
PEST分析について、詳しくは以下の記事をご参照ください。
マーケティングにおけるPEST分析(マクロ環境分析)とは
次にミクロ環境、つまり自社の参入している業界の動向を把握します。この際には競合と顧客の二つの切り口で整理するとわかりやすいです。競合の動向、顧客の意識などをできるだけ明確にしていきます。この外部環境分析で明らかにしたいのは「機会」「脅威」です。今後訪れるビジネスチャンスとリスクと言い換えることが可能です。
ミクロ環境分析の詳細は、以下の記事をご参照ください。
マーケティングにおけるミクロ環境分析(5フォース分析・3C分析)
SWOT分析による事業機会の発見
この内部環境分析で得られた「強み(Strength)」と「弱み(Weakness)」、外部環境分析で得られた「機会(Opportunity)」と「脅威(Threat)」を利用して、分析を行います。この方法をそれぞれ英語の頭文字をとって「SWOT(スウォット)分析」と言います。
SWOT分析を行うことで、自社にとっての事業機会を見つけていきます。詳細な方法は別の機会に譲りますが、それぞれのS×O、S×T、W×O、W×Tを掛け合わせることで、自社にとってのビジネスチャンス(市場機会)を明らかにしていきます。
SWOT分析の具体的な方法は次の記事に記載しています。
マーケティングのSWOT分析とは
STP分析
事業機会が見つかったら、次に行うことは市場の細分化です。対象となる市場を細かく分類することで、より具体的に自社のユーザーを定めるために行います。この細分化をどのような切り口で行うかは非常に重要です。
細分化の切り口としては、例えば性別、年代などが分かりやすい例ですが、社会が成熟している最近はそのような細分化だけでは有効とは言えなくなってきています。このステップは別の言い方ではセグメンテーションと言います。
次に、細分化した市場の中から自社の狙うべきセグメントを設定します。例えば、「20代の女性」などです。このターゲットを定めるプロセスをターゲッティングと言います。
最後に定めたターゲットに対してアプローチするために有効な自社のポジションを明らかにします。この際には競合企業の存在を強く意識する必要があります。競合と比較した際に自社がどのような位置取りをするか、ということです。例えばファッションで言えばハイブランドを狙うのか、ファストファッションを狙うのか、スポーティなのかドレッシーなどの2軸で設定し、その中での自社のポジションを定めます。
STP分析の詳細は、次の記事を参照ください。
マーケティングのSTP分析を行う① セグメンテーション
マーケティングのSTP分析を行う② ターゲティングとポジショニング
マーケティングの4P
ここまで来てようやく、製品(プロダクト)、価格(プライス)、販路(プレイス)、販促(プロモーション)など具体的な検討に入ります。この段階をマーケティングミックスと言い、頭文字をとって4Pと呼ばれます。
詳しくは以下の記事を参考ください。
マーケティングミックスを考えるー4Pとは
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